竹迫医院泌尿器科の診療内容 外観

当院では軟性膀胱鏡や残尿測定エコーを用いて、より安全でより痛みの少ない検査や治療をおこなっています。

泌尿器科とは?

泌尿器科で取り扱う主な臓器
泌尿器科は血液を綺麗にして余分な水分や老廃物である尿を生成する腎臓や、尿の通り道である尿路や男性性器を診る診療科です。 具体的には腎臓や尿路である腎盂、尿管、膀胱、前立腺や尿道、男性の陰のう、精巣、ペニスなどを診る科です。 泌尿器科で取り扱う主な疾患は下記のとおりです。
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泌尿器の臓器別診断と治療

腎臓・尿管
腎臓は血液を濾過して老廃物や水分を尿として体の外へ追い出してくれる臓器です。他にも血圧を調整したり、体液量を調整したりします。
尿管は腎臓で作った尿を膀胱に運ぶ管のことです。
主な疾患として腎臓がん、腎盂・尿管腫瘍などの悪性疾患や腎臓・尿管結石、腎盂腎炎などの良性疾患があります。
腎臓がん 腎臓の実質という部分から発生する癌です。比較的男性に多く近年増加傾向にあります。
症状 早期の段階では症状が出る事はほとんどありません。近年は人間ドックや他の病気で精査中に偶然発見される事(偶発癌)が多くあります。 他に血尿や腹部腫瘤、他の臓器への転移による疼痛や病的骨折などの症状をきっかけに発見される事もあります。
病因 喫煙や飲酒、肥満、性ホルモンなどの関与が指摘されていますが、はっきりした原因は不明です。 一部、遺伝性の腎癌や透析の患者さんに腎癌が発生する場合があることが知られています。
検査
  1. 腹部超音波検査
  2. 胸腹部CT
  3. 血液検査
  4. 尿検査など
治療法
  1. 手術療法
  2. 放射線療法
  3. 薬物療法など
腎盂・尿管がん 膀胱がんに比べ発生頻度は低いですが、診断が難しく、発見が遅れ進行してしまう危険性が高い癌です。
病因 喫煙や化学物質などが指摘されていますがはっきりした原因は不明です。
症状 初期の段階では、肉眼的血尿や、検診などで指摘される顕微鏡的血尿が認められるくらいで無症状(無症候性血尿)な場合がほとんどです。腫瘍や凝血塊(腫瘍から出た血液が固まったもの)が尿管などの尿の通り道を塞いでできる水腎症に伴う腰背部痛がみられることもあります。進行している場合、他の臓器への転移やリンパ節の腫大による咳や腹痛などの症状が表れる場合もあります。
検査法
  1. 尿検査
  2. 尿細胞診
  3. 軟性膀胱鏡
  4. 排泄性(静脈性)腎盂尿管造影
  5. CT、MRIなど
治療法
  1. 手術療法
  2. 化学療法
  3. 放射線療法など
腎・尿路結石 尿路の結石は腎盂(腎臓の内側の部分)で形成され、結石がある場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。
症状 結石が腎盂内にある腎結石では症状が出ない場合が多く、結石が流れて尿管を閉塞した場合に疝痛発作と呼ばれる激しい痛みが現れます。鈍い痛み(鈍痛)を繰り返す場合もあります。多くの腎結石、尿路結石では血尿を伴います。膀胱まで移動して排泄されないと膀胱結石となりますが無症状の場合がほとんどです。結石が尿道に詰まれば尿閉の原因となります。
病因 体質、水分補給不足、高尿酸血漿などが考えられています。
検査法
  1. 腹部超音波検査
  2. X線検査
  3. 尿検査
  4. 尿培養
  5. 血液検査
  6. CT
  7. 排泄性腎盂尿管造影など
治療法
  1. 鎮痛剤や解熱剤の投与
  2. 排石を促す薬物療法
  3. 体外衝撃破砕術(ESWL)
  4. 経尿道的尿管結石破砕術(TUL)など
腎盂腎炎 尿路感染症の一つで高熱を来たし、重症化する場合もあり早期に抗生物質の点滴による治療が必要です。
症状 熱による全身倦怠感、悪心、食欲不振、関節痛や敗血症による血圧低下、意識混濁などのショック状態となる場合もあります。
病因 大腸菌などによる感染尿が膀胱から腎盂にまで逆流し炎症を引き起こすと考えられています。基礎疾患として尿路結石、尿路腫瘍、膀胱尿管逆流症(膀胱の尿が尿管や腎盂に逆流する疾患)などがあります。
検査法
  1. 尿検査
  2. 尿培養
  3. 血液検査
  4. 腹部超音波検査など
治療法
  1. 抗生物質による治療など
  2. (安静が必要です)

膀胱
膀胱は尿を貯めたり(畜尿)、出したり(排尿)をする臓器です。
疾患には膀胱がんなどの悪性腫瘍や尿漏れや頻尿(昼間や夜間帯に何度もトイレに行く)の原因となる過活動膀胱や神経因性膀胱などの良性疾患があります。 特に女性の頻尿、尿漏れ、尿意切迫感(尿を我慢できないあるいは我慢できず漏らしてしまう)などの主因となるのが過活動膀胱です。その他膀胱炎、膀胱結石などの疾患もあります。
    正常な排尿とは(成人)
  1. 一回排尿量・・・・・・・・200-400ml
  2. 一回あたりの排尿時間・・・20-30秒
  3. 一日の排尿量・・・・・・・1000-1500ml
  4. 一日の排尿回数・・・・・・5-7回
  5. 排尿間隔・・・・・・・・・3-5時間(夜は起きない)
膀胱がん 膀胱の中にできる腫瘍は悪性のものがほとんどです。血尿をきっかけにみつかる場合が多く、特に症状を伴わない肉眼的血尿(尿が赤いと自覚される血尿)を認めた場合は軟性膀胱鏡などの検査が必要です。検診などで指摘される顕微鏡的血尿(尿が赤いと自覚されないが顕微鏡で診ると赤血球が認められる)も検査が必要な場合があります。
筋層非浸潤性膀胱癌
筋層非浸潤性膀胱癌
浸潤性膀胱癌
浸潤性膀胱癌
上皮内癌(CIS)
上皮内癌(CIS)
症状 肉眼的あるいは顕微鏡的血尿。進行した場合は排尿困難や下腹部痛などがあります。
検査法
  1. 尿検査
  2. 血液検査
  3. 尿細胞診
  4. 軟性膀胱鏡
  5. 腹部超音波検査
  6. CTなど
治療法
  1. 経尿道的膀胱腫瘍切除術
  2. 抗がん剤膀胱注入療法
  3. BCG膀胱注入療法
  4. 膀胱全摘術
  5. 放射線治療など
過活動膀胱

<女性用>

女性の頻尿、尿漏れ、の主な原因で40歳を過ぎた頃から症状が出現し、加齢とともに悪化する場合がほとんどです。男性でも前立腺肥大症に合併する場合があり、前立腺肥大症の頻尿や切迫性尿失禁の原因の一つにもなります。
症状 昼間あるいは夜間の頻尿。強い尿意(切迫性尿意)を感じて尿が我慢できない、あるいは我慢できず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)。咳やくしゃみなど下腹部に力が加わった場合漏らしてしまう(腹圧性尿失禁)。尿漏れが心配で毎日尿とりパットを使用しているなど。
左の過活動膀胱判定質問票をクリックして程度を調べてみましょう。)
検査法
  1. 問診(OABSS)
  2. 尿検査
  3. パットテスト
  4. 残尿測定エコー
  5. 腹部超音波検査など
治療法 内服治療で効果がある場合がほとんどです。
行動療法や尿失禁予防運動療法を併用するとさらに治療効果が高まります。
神経因性膀胱 脳や脊髄などの中枢神経や末梢神経に原因があり、上手く尿を貯めたり、出したりできない状態です。
症状
  1. 排尿困難
  2. 尿失禁
  3. 尿路感染による発熱など
検査法
  1. 尿検査
  2. 残尿測定エコー
  3. 膀胱内圧測定
  4. ウロフロメトリー
  5. 腹部超音波検査など
治療法
  1. 薬物療法
  2. 自己導尿指導など
膀胱炎 女性に多く大腸菌が主な起炎菌です。ストレスや、 疲れ、風邪を引いたときなど免疫力が下がったときに発症しやすい傾向があります。
症状
  1. 頻尿
  2. 排尿時痛
  3. 残尿感
  4. 血尿など
検査法
  1. 尿検査
  2. 血液検査
  3. 残尿測定エコー
  4. (必要に応じて)尿培養検査
  5. 腹部超音波検査など
治療法
  1. 抗生物質の投与
  2. 複雑性の場合はその原因の精査と除去(結石や腫瘍の有無の確認とその治療)など
膀胱尿管逆流症 膀胱の尿が尿管や腎盂に逆流してしまう疾患です。幼少児期から年に何回か原因不明の突然の高熱を来たします。 上気道炎症状など、他の炎症性疾患の症状を伴わない事が特徴です。多くの場合、高熱時に尿所見で膿尿を認めます。 診断が難しく、発見が遅れると腎機能が低下する場合もあります。
症状 上気道炎やその他の炎症疾患を伴わない突然の熱発を年に何回か繰り返す。同時期に腰や背中の痛みを伴う事もあります。
  1. 上気道炎やその他の炎症疾患を伴わない突然の熱発を年に何回か繰り返す。
  2. 同時期に腰や背中の痛みを伴う。
  3. 関節痛
  4. 時として腰背部痛など
検査法
  1. 尿検査
  2. 尿培養
  3. 排尿時膀胱尿道造影
  4. 腹部超音波検査
  5. 腎シンチグラム
  6. CTなど
治療法
  1. 薬物療法
  2. 膀胱尿管逆流防止術など

前立腺・尿道
前立腺は精液の約10%を構成する前立腺液を造る臓器です。加齢とともに大きくなり、尿の通り道を圧迫したり、塞いだりする場合があります。 尿道は膀胱から出た尿が通る文字通り「尿の通り道」で前立腺の中を通っている前立腺部尿道とそれ以外の尿道でできています。
尿が出にくい、昼間や夜間の尿の回数が多い、尿意を感じると我慢できなくなるなどの症状が出た場合、前立腺肥大症の疑いがあります。 前途の症状がなく、前立腺が大きいというだけでは前立腺肥大症とは言いません。その他に前立腺・尿道の疾患には尿道狭窄、急性・慢性前立腺炎などがあります。
前立腺がん 男性の罹患率第二位のがんです。近年、前立腺がんが人口の老齢化によって増える傾向にあり、将来的には男性の癌の第一位になるとも言われています。 前立腺がんは前立腺肥大症とは異なり、おしっこの症状が出ない場合が多く、50歳を超えた男性は、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)を定期的に採血していくことが早期発見につながります。
症状 初期には症状はありません。骨に転移しやすいため、病的骨折などで癌の原発巣として見つかることもあります。早期発見で根治可能な癌でもあります。
検査法
  1. 血液検査(PSА;前立腺特異抗原)
  2. 尿検査
  3. 前立腺超音波検査
  4. 前立腺生検(左の図をクリックして参照して下さい)
  5. CT
  6. 骨シンチなど
治療法
  1. 手術療法
  2. 放射線療法
  3. ホルモン療法等の薬物療法など
前立腺肥大症
前立腺は加齢とともに大きくなり、尿道を塞いでしまう場合があります。 尿道を塞ぐと排尿困難や残尿感を自覚する、 または、日中の頻尿や夜間1回以上トイレに起きるなどの症状が出た場合、前立腺肥大症という病名になります。 (左の図をクリックして参照して下さい)
症状
  1. 排尿困難
  2. 残尿感
  3. 排尿時痛
  4. 日中あるいは夜間の頻尿
  5. 尿漏れなど
検査法
  1. 尿検査
  2. 残尿測定エコー
  3. ウロフロメトリー
  4. 前立腺超音波検査など
治療法 飲み薬による治療が第一選択となります
<I-PSS> 前立腺肥大症が疑われるときの問診では、「国際前立腺症状スコア(I-PSS)」という、 WHO(世界保健機構)が1995年に定めた問診票がよく使われています。具体的な症状と、その程度を点数化することで、自覚症状を把握することができます。

左の質問票をクリックしてI-PSSをチェックしてみましょう。)

急性前立腺炎 主に細菌感染が原因で38度以上の高熱や、排尿時痛、残尿感などの比較的重い尿路症状が出る場合が多くあります。
症状
  1. 排尿時痛
  2. 残尿感
  3. 高熱とそれに伴う全身倦怠感や関節痛など
検査法
  1. 尿検査
  2. 尿培養
  3. 血液検査
  4. 前立腺触診
  5. 前立腺超音波検査など
治療法
  1. 点滴による抗生物質の投与
  2. その他の薬物療法など
慢性前立腺炎 非細菌性の場合が多く原因も様々です。
症状
  1. 排尿困難
  2. 排尿時痛
  3. 下腹部の違和感や不快感など
  4. 残尿感など
検査法
  1. 尿検査
  2. 尿培養
  3. 前立腺触診
  4. 前立腺超音波検査
治療法
  1. 内服による薬物療法
  2. 軽い運動などの行動療法など
尿道炎 男性の場合性交によるクラミジアや淋菌による感染がほとんどです。女性の場合は尿路症状が出にくいので発見が遅れ、卵管炎などを併発する場合があります。
症状
  1. 排尿時の激しい痛み
  2. 尿道からの排膿
  3. 残尿感など
検査法
  1. 尿検査
  2. 尿培養
  3. 触診など
治療法 抗生剤の点滴や内服治療です
尿道狭窄 尿の通り道が狭くなり、排尿が難しくなった状態です。
症状
  1. 排尿困難
  2. 尿閉(尿が出なくなった状態)
検査法
  1. 軟性膀胱鏡による狭窄部位の検索
  2. 逆行性尿道膀胱造影
治療法
  1. 尿道拡張法(尿道の狭い部分を広げる手技)
  2. 内視尿道切開術など

精巣・精巣上体・陰のう・ペニス
男性の外性器で精巣・精巣上体・陰のう・ペニス・包皮を含みます。
精巣腫瘍 精巣にできる腫瘍は悪性である可能性が高く、専門医の診察が必要です。比較的若い年齢層と高齢者に多くみられます。
症状 特にありません。精巣(睾丸)が痛くも無いのに腫れている、何か出来ていると本人が気づく場合がほとんどです。放置した場合、肺などに転移して呼吸器症状などが出る事もあります。
検査法
  1. 血液検査(腫瘍マーカーなど)
  2. 精巣超音波検査
  3. 胸部X線検査
  4. CTなど
治療法
  1. 手術療法
  2. 放射線療法
  3. 抗がん剤投与など
精巣炎
精巣上体炎
精巣は精子を作り出す他に、ホルモンであるアンドロゲンを分泌する内分泌器官で睾丸(睾丸)とも呼ばれます。 精巣上体は精巣の上にある臓器で副睾丸とも呼ばれます。ここに炎症が起こると高熱(38度以上)となり、精巣が大きく腫れ、痛みを伴います。「おたふくかぜ」に併発する場合があります。
症状
  1. 高熱
  2. 精巣の腫れ(精巣にも炎症が広がります)
  3. 痛みなど
検査法
  1. 血液検査(炎症の程度を診る)
  2. 触診
  3. 精巣超音波検査など
治療法
  1. 抗生剤投与
  2. 陰部の保冷など
  3. (安静が必要です)
陰のう水腫 陰のうに水が溜まる病気です。小児の場合は様子をみますが、成人の場合は生活に支障が出る場合もあります。
症状 陰のうの腫れ
検査法
  1. 尿検査
  2. 陰嚢部超音波検査など
治療法
  1. 必要に応じ外来での陰嚢穿刺
  2. 手術療法など
(亀頭)包皮炎
包茎
日本では割礼(余分な包皮を切り取る習慣)の慣習が無いので男性の多くは仮性包茎です。勃起した際に亀頭が全く出てこない、あるいは排尿に支障が出るなどの症状がなければ支障がありません。ただ清潔が保たれなければ、陰茎がんの原因の一つにもなりますので入浴時は亀頭をよく洗う必要があります。 亀頭が全くむけない場合は真性包茎の可能性があり一度泌尿器科を受診してください。
症状
  1. 排尿困難
  2. 亀頭部の痛みなど
検査法
  1. 視診
  2. 残尿測定エコーなど
治療法 小児の亀頭包皮炎は塗り薬で様子を観ていい場合がほとんどです。 小児や成人で、真包茎と診断された場合、程度によっては手術が必要になる事もあります。